不動産投資で初めて物件を購入される方は、融資を受ける際に頭金を入れるべきか、また、入れる場合はどの程度入れるべきか悩まれる方も多いと思います。
この記事では、頭金を入れるメリット、デメリットについてお話していきたいと思います。
頭金を入れる3つのメリット
1つ目は、月々の返済額を少なく抑えられることです。
頭金を入れるということは、その分借入金の総額を低く抑えることになりますので、月々の返済額と利息の支払額を少なくすることができます。
不動産投資には様々なリスクがありますが、例えば長期間にわたり空室が出てしまった場合、返済金額が高いと、月々のキャッシュフローが赤字になってしまいますよね。
このような場合でも、返済額を低く抑えておけば、余裕を持って返済ができますから、安定して不動産事業を運営していくことができます。
例えば、諸費用込で5000万円のアパートを購入する場合にフルローンで金利2%、借入期間30年として単純計算した場合、月々の支払いは、元利合計で184,809円となります。
一方で、頭金を500万円の入れた月々の支払いは元利合計で166,328円です。
月々の支払額の差額は18,481円となりますので、例えば修繕費として積み立てておけば、急に修繕費が必要になった場合でもなども、余裕を持って対応できます。
2つ目は、金利の上昇リスクへの対策になることです。
先程お話した通り、頭金を入れることで借入総額を低く抑えられますので、その分利息の支払総額を抑えることにもなります。
現在は超低金利のため、支払利息の負担はそれほど感じないかもしれませんが、今後、政策の方針転換によって、金利の上昇の可能性は高いと予想されています。
例えば、借入金5,000万円、金利4%、期間35年の場合、利息の支払総額は42,982,437円ですが、頭金500万円を入れることで、利息の支払総額は38,684,290円まで下がります。
差額は4,298,147円でかなり大きな差ですね。
そのため、頭金を多く入れておくことで、今後、金利が上昇してしまった場合に、キャッシュフローがマイナスになってしまうなどのリスクを軽減させる効果があります。
3つ目は、頭金を多く入れることで、ローン審査に通りやすくなる点です。
借り手の年収や資産状況にもよりますが、自己資金は多ければ多いほど融資は通りやすくなります。
また、低金利が魅力である日本政策金融公庫に関しては、頭金を5〜7割入れるのが一般的で、頭金が融資の必須条件となっています。
頭金を入れる2つのデメリット
1つめは、レバレッジ効果が低くなる点です。
レバレッジ効果というのは、少ない自己資金で大きな利益をあげることです。例えば500万円の頭金で物件価格1,000万円、利回り10%のアパートを購入した場合、自己資金500万円に対する年間キャッシュフローは100万円となります。
一方、フルローンで同じ物件を購入した場合、自己資金は0円で同じ100万円のキャッシュフローを得ることができますので、資金効率がよくなります。
手元に温存した自己資金は別の物件の購入資金に当てたり、修繕費にあてて物件のバリューアップをすることもできますので、頭金を入れるより不動産投資の規模の拡大が早いです。
2つ目は、頭金を貯めるまで物件の購入ができないことです。
当然ですが、自己資金がない場合、頭金の金額まで毎月少しずつ貯金して行かなければなりません。
この場合、不動産投資をスタートするまでに時間がかかってしまいますので、その間収益をあげることができなくなってしまいます。
不動産投資が他の投資より有利な点は、自己資金が少なくても融資を利用することができれば、事業を拡大できることです。
そのため、出来るだけ早く始めて、早く規模を拡大していくことが収益の最大化にもっとも効率が良いと考えられます。
まとめ
このように頭金を入れることで、金利上昇リスクなどにも対応できる安定した返済計画を立てることができますが、その代わり資金効率は悪くなります。
つまり、頭金をどの程度入れるかは、投資家の自己資金や目標とするキャッシュフローとリスクのバランスを考えて慎重に判断しなければなりません。
また、最近1〜2年の融資の状況は、銀行の不正融資問題やアパート建築会社の建築偽装問題の影響もあり、厳しい状況が続いています。
投資家の年収、資産状況により条件は異なりますが、フルローンは難しく、頭金が最低1割以上というケースが多いです。
不動産投資にはさまざまなリスクがありますので、物件の購入前に、物件の状態や周辺の賃料相場をしっかりと把握し、長期に渡って安定して経営して行けるよう、しっかりとしたシミュレーションをすることが重要ですね。